子どもがつく「ウソ」の背景を考える

今回は、発達障害のことから少し離れて、「子どものウソ」について書いてみたいと思います。

まず、私自身の考えとして、「ウソをつかない人=心がきれいな人」とは思っていません。

当たり前ですが、ウソにも相手を思いやるためのものもあれば、人を傷つけたり、自分を守るためのものもあります。また、「正直であること」が、いつでも最善とは限りません。

例えば、あまり気乗りしない飲み会に誘われたとき、「絶対に行きません。その飲み会はつまらないので。」と真っすぐな目で伝えたら、人間関係が終わってしまうかもしれません。

多くの大人は、「行けたら行きますね」などと、少し角の立たない伝え方をしますよね。

一方、小さな子どもはとても正直です。

うちの息子も3歳くらいの頃は、お店で会計を終えた直後に「あのてんいんさん、ハゲてたね。」と、わりと大きな声で言ったことが何度もありました。そのたびに私は強めに手を引いて、その場を足早に去ったものです。

そんな子どもも、成長するにつれて少しずつウソを覚えていきます。

もちろん、かわいらしいウソもありますが、中には少し気をつけて見てあげたいウソもあります。

私の経験では、子どものウソには、次のような背景があることが少なくありません。

  • 叱られないために、とっさについてしまうウソ
  • 親の注意や関心を引くためのウソ
  • 「このくらいなら大丈夫」と思い、クセになってしまったウソ

叱られないためのウソ

これは、普段から叱られる経験が多い子どもによく見られます。

本来なら、ウソをついて後からバレるほうが、さらに叱られたり、信用を失ったりするわけですが、子どもはそこまで先のことを考えられません。

それよりも、「今、この場を何とか乗り切りたい」「叱られるのを避けたい」という気持ちが勝ってしまうのです。

そんなときは、「最近、叱る場面が増えていないかな」と、親御さん自身が少し振り返ってみてもよいかもしれません。

また、このタイプの子どもは「謝ること」が苦手な場合もあります。

もし子どもが勇気を出して正直に話してくれたなら、そのときだけは叱ることをぐっと我慢する。そして、「正直に話してくれてありがとう」という経験を積み重ねていくことが大切です。

誰だって、「どうせ許してもらえない」と思っていたら、正直に話そうとは思えませんからね。

親の注意や関心を求めるウソ

ウソをつくことで特に得をするわけでもないのに、同じようなウソを繰り返す場合があります。

そんなときは、「親の注意や関心を強く求めているサインではないか」という視点も大切です。

たとえ「ウソをついて叱られる」という形であっても、「自分を見てほしい」という気持ちが隠れていることがあります。

もちろん、すべてがそうとは限りません。

だからこそ、「どうしてこの子はこんなウソをつくのだろう」と、一度立ち止まって考えてみることが大切なのではないかと思います。

クセになってしまったウソ

これは、子どもの小さなウソを、大人が十分に確認しないまま終わらせてしまうことで、結果的に強化されてしまうケースです。

私自身もついやってしまうことがあります。

「本当だな?ウソだったら怒るからな?」

そう言ったものの、実際には確認せず、そのまま終わってしまう……そんな場面です。

これを繰り返すと、子ども側としては、『強く言い張ればウソをつき通せる』『親はああ言いながらも確認はしない…イッヒッヒ!』と学習してしまうんですね。
ただ、『イッヒッヒ!』はうちの子だけかもしれません。

やはり、確認すると言ったのであれば、最後まできちんと確認する。そして、もしウソだった場合は、「ウソはやめよう」と落ち着いて伝えることが大切だと思います。

最後に

子どもがウソをつくと、「またウソをついた」と、その行動だけに目が向きがちです。

もちろん、ウソそのものを見過ごしてよいわけではありません。

ただ、そのウソの背景には、「叱られたくない」「自分を見てほしい」「なんとかその場を乗り切りたい」といった、子どもなりの理由が隠れていることがあります。

子どもがウソをついたときには、叱る前に一度だけ、「どうしてこの子には、このウソが必要だったのだろう」と考えてみる。

そんな視点を持つことで、子どもの理解につながることも少なくありません。