早期発見・早期介入の大切さと脳の可塑性

発達障害に「早期発見」と「早期介入」が大切なのはなぜか

「早期発見」「早期介入」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

医療や教育など、さまざまな分野で使われる言葉ですが、発達障害についても例外ではありません。

お子さんの特性や得意・苦手を早い段階で理解し、その子に合った関わり方を始めることは、お子さんのこれからの成長にとって、とても大切な意味があります。

医療の世界では、「早期発見・早期治療」が重要であることは広く知られています。

例えば、がんはできるだけ早い段階で見つけ、適切な治療を開始することで、治療の選択肢が広がる場合があります。

このように、「早く気づき、早く対応すること」が大切だという考え方は、多くの病気に共通しています。

ただし、発達障害における「早期発見・早期介入」は、病気の治療とは少し意味合いが異なります。

その理由を理解するために、「脳の可塑性(かそせい)」という言葉をご紹介したいと思います。

たとえば、軟式テニスボールがあるとします。

それをこのように、グッと握ると……

つぶれます。そして手を放すと……

たちまち元の形に戻ります。当たり前ですね。

今度は、同じことを粘土でやってみたいと思います。

粘土をグッと握ると……

つぶれます。そして手を放すと……

粘土は元の形には戻りません。これも当然ですね。

「こいつはいったい何をやっている」と思われたかもしれませんが、私はなにも、軟式テニスボールの弾力性や、粘土の質感をお伝えしたいわけではありません。

「可塑性」とは、前者のテニスボールではなく、後者の粘土のような性質を指します。

あるものに一定以上の力が加わったとき、元の形に戻るのではなく、その変化が残る性質。それが「可塑性」です。

そこで、「早期発見・早期介入」と「脳の可塑性」の話につながります。

もちろん、脳に力を加えるという意味ではありません。

脳には、経験や環境によって変化する「可塑性」があります。そして、その働きは年齢を問わず存在しますが、特に子どもの頃は大きいことが知られています。

子どもの頃に身につけた生活習慣や考え方、学び方が、大人になってからも自然と続いていることがありますよね。

これは、人間が発達の過程で、その時々の環境に適応しながら成長していくための大切な仕組みです。

そのため、発達障害や発達の特性に早く気づき、その子に合った支援や関わりを早い段階から始めることで、望ましい習慣や学び方、人との関わり方を身につけやすくなることが期待できます。

これが、発達障害において「早期発見・早期介入」が大切だと考えられている理由です。

もちろん、大人になってからでも人は学び、成長することができます。

それでも、子どもの頃は脳の可塑性が特に高く、環境から大きな影響を受ける時期です。

だからこそ、お子さんの特性に早く気づき、その子に合った環境や支援を整えてあげることには、大きな意味があるのです。