近年では、発達障害について広く知られるようになり、お子さんの発達特性に比較的早い時期から気づけるケースが増えてきました。
その結果、就学前から発達検査や知能検査を受けたり、児童発達支援などの療育を利用したりすることも珍しくありません。
(詳しくは「早期発見・早期介入の大切さと脳の可塑性」をご覧ください。)
しかし、「小学校に入学したら支援は終わり」というわけではありません。
むしろ、就学後になって初めて困りごとが目立つようになるお子さんも少なくありません。
学校では求められることが大きく変わる
就学前は、一人ひとりの発達に合わせた環境が比較的整えられています。
一方、小学校へ入学すると、
- 授業を最後まで集中して聞く
- 時間割に合わせて行動する
- 忘れ物を管理する
- 友達との集団生活を送る
- 複数の指示を理解して行動する
など、新しい課題が一気に増えてきます。
そのため、それまであまり目立たなかった発達特性が、学校生活の中で初めて困りごととして現れることがあります。
支援の形は変わっていく
就学前は、医療機関や療育機関が中心となって支援を行うことが多いですが、就学後は学校が生活の中心になります。
通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校など、お子さんの状況に応じてさまざまな学びの場が用意されています。
また、放課後等デイサービスなど、学校以外の支援機関を利用するお子さんもいます。
つまり、「支援がなくなる」のではなく、お子さんの成長に合わせて支援の形が変わっていくと考える方が自然でしょう。
「診断があるかどうか」だけでは語れない
一方で、学校生活の中では、「少し気になるけれど診断には至っていない」「発達特性はあるものの、大きな困りごととして扱われにくい」というお子さんも少なくありません。
いわゆる「グレーゾーン」と表現されることもありますが、そのような言葉だけで一人ひとりを説明できるわけではありません。
以前、「スペクトラム(連続体)」についての記事でも書いたように、発達特性は白か黒かではなく、連続した広がりの中にあります。
そのため、診断名だけで支援の必要性を考えるのではなく、「今、その子がどんなことで困っているのか」という視点がとても大切だと思います。
学校だけで解決できることばかりではない
学校は学びの場であり、集団生活を経験する大切な場所です。
一方で、学校には一人の子どもだけに十分な時間をかけることが難しいという現実もあります。
だからこそ、必要に応じて学校以外の支援を組み合わせることには大きな意味があります。
例えば、
- 学習方法を一緒に考える
- 自分の特性を理解する
- 人との関わり方を練習する
- 保護者が家庭での対応を相談する
こうしたことは、学校とは違った環境だからこそ取り組みやすい場合もあります。
子どもは成長し続けます
就学後の発達支援で大切なのは、「今できないこと」だけを見ることではありません。
子どもは成長します。
学年が上がるにつれて苦手さが目立たなくなることもあれば、新しい課題が出てくることもあります。
だからこそ、その時々のお子さんの様子を見ながら、必要な支援を柔軟に選んでいくことが大切なのではないでしょうか。
学校だけ、家庭だけ、あるいは一つの支援機関だけで解決しようとする必要はありません。
お子さんに関わる人たちがそれぞれの立場から支え合いながら、その子の成長を見守っていくことが、何より大切だと私は考えています。
